
沖縄と仲泊、そして今という時代について
沖縄は暑い。
窓の外にはブーゲンビリアがほぼ一年中咲いている。
台風から人々の暮らしを守るフクギの緑は濃い。
が、そこは亜熱帯であり常夏の熱帯ではない。
11月中旬には、新北風と呼ばれる季節風が吹き、その後ひと月ほどで短い冬が訪れる。
とは言え、その1月に緋寒桜が咲く。鶯が鳴き始めるのも同じ頃。
山原と呼ばれる沖縄本島北部には、植物が鬱蒼と茂る森が拡がる。
そこにはイタジイを代表とするブナ科の樹々に混じってヘゴと呼ばれるシダ植物が群生。
常緑の緑に遮られる陽光は真上からしか届かない。
その森が沖縄の命を育む。
今、沖縄の水道には太陽から恵みを受けた山原の水が流れている。
恩納村仲泊。琉球王朝時代に首里王府と山原を結ぶ「宿道(しゅくみち)」と呼ばれる古道の中程に位置する由緒ある集落。
「コテージ仲泊」は、落ち着いた暮らしを大切にする心豊かな人々が住む集落の一角をお借りして、その土地に生まれ育った棟梁が弟さんと二人で建てた手造りの宿。そこには特別なものは何もない。あるのは「仲泊」という空間。
時間を捉え直す。風を聴く。
一人一人が取り戻す何かがきっとある。

